詩のある街から

ほっと けい の詩を掲載します。

言葉




優しい言葉を


易しい言葉で語りたい


いつまでも


響きつづけるように




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初夏のウィルス



陽ざしが強くなり

緑が深くなると

ぼくはそろそろ仮眠に入る



初夏には

耐えられない吐き気がするんだ



理由は分かっているが

だれにも教えない

なぜならそれは

ぼくの個人的なことだから



それにしても今年は

だれもが新しいウィルスの襲来に大騒ぎ

生きることも

死ぬことも

すべて実体はないのだと

般若心経は説くのだが

住職はマスクをして

手を洗い

うがいを励行している



ぼくはめまいを覚えながら

境内の長い石段を千鳥足で降りていく

道のむこうには栗畑

花が咲き誇る栗畑



仮眠しているうちに

核兵器でも飛んできたら

ワクチンか免疫力で撃退するのだろうか

もう何も分からない


仮眠したままこの世を去っても

ぼくを年間3万人の自殺者に含めないでくれたまえ

たとえこの街が廃墟になろうと

ぼくは寿命まで生きる覚悟なのだから




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  夢




夢は壊れるものだ

叶っても壊れ

叶わずとも壊れ

虚空にさまよう



夢を壊さない

ただひとつの道は

自分が壊れること


ぼくはきょうも

ひとかけらずつ壊れているが

そんな顔はしない





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骨董街にて




地蔵坂上の

バス停留所には

静かな

雨が似合う



ときおり

古いものたちの声が

聞こえてくる



歩きつかれた夕刻

それは優しく

懐かしく

わたしに浸みこんでくる



はるか遠くに

バスの赤が見えてくる





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夜の深さに




夜明けまえの闇は

いちばん深いと教えられた

しかし

いちばん深いと思いこんでいた闇が

さらに黒く塗りつぶされたとき

わたしはもう

すべてをおまかせするしかなかった



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